自己主張することは、ストレスをためないためにも大切なことです。でも相手の問題行動には、あなたが不満 (イライラ)を持っていることなど気づかずに行動している場合があるかもしれません。相手には相手の考え(欲求)があり、行動しているのです。あなたの意見が絶対に正しいのだと、相手をとがめるような主張をすると相手の反発や抵抗にあいかねません。また、見かけの上で相手の行動が変化しても、相手の心からの変化は期待できないことがあります。

私たちの犯しやすい間違いは、相手に対して受け入れられないこと(対立・欲求不満・葛藤・拒絶的な感情) があると「君やめたまえ」「あなたがやめなければ」「あなたはそうすべきじゃないですよ」「あなたは失礼ですよ」「あなたのなすべきことはこれからですよ」「あなたのために言うんですよ」など、すべて相手のことを良いとか、悪いとか、審判しているのですから相手は不快な気持ちになります。人から自分の行動をとやかく、口出しされるといやな気分になりやすいのです。

これでは相手は行動を変えて協力しようというどころか自尊心を損なわれ、反発や恨みの感情を招きます。

 

ここで大切なことは、相手をとがめるためのメッセージではなく、自分の感情や考え方を表現する方法なのです。相手を審判したり、とがめたりすると相手はかたくなに抵抗するか、心の中で「恨みのパワー」を蓄積するのです。

正しい自己主張とは、相手の行動を良いとか悪いとかの評価を下さずに、自分はどう思うというように自分の気持ちをオープンに表現することです。

 

あなたはなぜ、自分が不満を感じたり、腹が立っているかを知っていますか? 不満や腹立ちは、どこからくるのでしょうか?

 


 



もちろん、相手があってのことですから、全てのケースでこのような会話が展開されるわけではありません。 しかし、このように日常で私達がイライラすることを、相手がワザとやっていることはマレです。相手が知らないでやってしまったことを攻撃的に批判的に伝えると、相手は心を閉ざしていきます。

 

この演習は人間関係に特に問題がないときにでも、自己開示が持っている有益な価値を示すものです。私達人間が他の人に与えることのできるもっとも素晴らしい贈り物の一つは、相手の人が自分に与えてくれる喜び、楽しみ、温かさ、嬉しさなどをその人とともに分かち合うことです。他人を上から見下ろし、審判的に良いとか悪いとか評価することなしに、私達の肯定的な感情を素直に相手に伝えてくれます。

 

今、問題が起こっていなくても、いずれ問題が起きそうな時に、あらかじめそれを予防するために出す「自己開示」です。

 

自分の意見を伝え、相手の考えを聴く、これは会話の基本です。 いくら「自己開示的表現」であっても、相手を変わらせることが心の奥にあると、しつこく何度も同じメッセージを出すことになってしまいます。これでは「審判的表現」と同じ圧力メッセージ(お前が変われ)となんら変わらなくなります。
そこで、相手の立場を聴いてあげると効果的です。これは「聴く」技術で説明したように、聴くことで「抵抗」がとれ、相手が安心して変わることができ、また、相手の立場を理解するうちに、こちらの心にも変化が現れることもあります。
「なるほど、それならこちらのほうが変わってあげよう」
「相手は、そんな気持ちだったのか。それだったら仕方がないな」
「相手の行動のほうが正しいんだ」

このように他者理解と自己理解が促進されます。期待と願望・推論と思い込みのズレが、対人関係のトラブルのもとになるのです。

 

 

 

衛藤 信之 氏

・ 日本メンタルヘルス協会 代表 プロフィール

・ 心理カウンセラー

日本で従来おこなわれていた、理論中心の心理学に変わり、実戦的な日常で使えるコミュニケーションプログラムを開発。多くの一部上場企業から「今までの研修で一番、参加者に変化がみられた」と全国で反響を呼び、年間300回を超える企業研修を受け持ち東奔西走している。

また、各地で開催されている心理学の教室はキャンセル待ちが続き、その教室の卒業生の活躍も目覚ましく、テレビのレギュラー出演やベストセラー作家として多くのメンバーが活躍中。

本人自身は、子どもの頃から家庭環境に恵まれず、義理の母の自殺の第一発見者になって以来、真の人間の関係性を知りたいと願い、心理学、哲学、行動科学を学ぶ。そして、そのような悲しみをトラウマにするどころか、そのことを生きるエネルギーに変えている。さらに、アリゾナのネイティブ・アメリカンと保留地で一年間生活を共にする経験を持ち、その地で、人の生き方の原点を学び、各地の学校では、インディアン・カウンセラーとして、地球と人間との共生を教え、子どもたちに大人気の先生である。

【講演実績】

大阪ガス・東京ガス・東邦ガス・アシックス・パナソニック・ソニー・NEC・日産自動車・マツダ・トヨタ自動車・ダイハツ工業・本田技研工業・江崎グリコ・グンゼ・バンダイ・シャープ・キヤノン・クボタ・ANA・Johnson & Johnson ・花王・NTTコムウェア・NTT東日本・NTT西日本・NTTビジネスアソシエ・NTTマーケティングアクト・日立製作所・鴻池組・鳳工業・鹿島建設・デンソー・大和ハウス工業・日本郵政グループ・ダイヤモンド社・船井総合研究所・東燃ゼネラル石油・SMBCコンサルティング・三菱UFJリサーチ&コンサルティング・富士通経営研修所・ソニー生命保険・アメリカンファミリー生命保険・プルデンシャル生命保険・ジブラルタ生命保険・東京海上日動あんしん生命保険・ベルランド総合病院ほか、学校・教育関係や行政関係など多数

【主な著書】

『心時代の夜明け~本当の幸せを求めて~』(PHP研究所)
『上司の心理学 部下の心をつかみ、能力を高める』(ダイヤモンド社)
『イーグルに訊け ~インディアンに学ぶ人生哲学~』(飛鳥新社)
『マンガでわかる上司と部下の職場系心理学』(実業之日本社)
『マンガでわかる会社組織が蘇る!職場系心理学』(実業之日本社)
『今日は、心をみつめる日。』(サンマーク出版)
『幸せの引き出しを開ける こころのエステ』(サンマーク文庫)