お客様にケガをさせたり、衣服を汚したり、お預かりした物を壊したり……。
こんな時、お詫びをするだけでは済みません。損害賠償責任が発生します。この制度はその「補償金」をお支払いするための補償制度です。お客様への誠意ある対応は、サロンの印象を大きく左右します。
BA東京を含む、46都道府県(京都府は独自保険)の美容組合加入店舗内(約7万軒)での賠償件数と賠償金支払額は下記のとおりです。
補償額は、
・対人:1名につき5,000万円まで、1事故につき1億円まで
・対物:1事故につき300万円まで
上記表の内訳として、1年間で、賠償保険支払額は3,000万円を超えており、対人が182件、対物が232件となっています。
事故の大小、賠償金の多少はありますが、単純な割算で算出すると
対物:1事故平均22,900円
対人:1事故平均139,794円
という支払額です。
(※年間1,600円のうち、BA東京が1,000円補助しています。)
BA東京に加入している全てのサロンが加入する仕組みになっています。
対物や対人の賠償平均金額を年額600円で換算すると、
対物:1事故平均22,900円で約38年
対人:1事故平均139,794円で約232年
いかに、安い掛金かということが分ります。
お客様との賠償事故を起こしてしまった際は、この美賠責を必ずご利用ください。
※美賠責の年額600円は、原則毎年9月にBA東京本部費や支部費と一緒に別途徴収されます。
詳しくは加入の仕方の支払例をご参照ください。
ちなみに、600円程度で買えるもの。
某カフェチェーン(S社)
・キャラメルフラペチーノGrandeサイズ【530円】+ホイップ増量【50円】=580円
某牛丼チェーン(S家)
・牛丼並盛【350円】+あさり汁たまごセット【240円】=590円
たばこ&コーヒー
・JTたばこ1箱【490〜530円】+コンビニアイスコーヒーSサイズ【100円】=590〜630円
BA東京の美賠責、正式名称「全美連美容所賠償責任補償制度」は、お客様への賠償金額全額が補償されるものではありません。
- 現金:盗難のみ対象となり、1事故2万円を限度として実額を補償
- アクセサリー、宝石、貴金属:補償対象となるものの時価5万円以下の物に限ります。
- 汚損した衣服やバッグ等:使用年月に応じて減額され、要返却のものについては更に減額されてしまいます。
対象とならないケースもあります。
- パーマ液をまつ毛パーマなど本来の目的以外に使用したことによる事故
- 仕上がり(髪型、毛染の色など)不良
- お客様からお預かりしていない携行品の盗難や紛失による事故(傘立ての傘など)
- お客様が店頭に置いた自転車やバイクなどの盗難や破損による事故
- お客様からお預かりした貨幣、紙幣(財布)の紛失による事故
など
また、お客様との示談や交渉については、組合や保険会社が間に入ることはありません。基本的にサロンとお客様とのやり取りとなります。
BA東京の賠償事故の傾向としては、カラー剤でお洋服の汚損が圧倒的ですが、近年、縮毛矯正失敗にまつわる賠償事故が増えております。髪の毛の断毛や頭皮のカブレ等が主です。
また、お客様の高齢化に伴うものなのか、サロン内の転倒なども目立っております。
サロン内の什器やドライヤーやアイロン等ケーブル類の整理などにも注意が必要です。
この美賠責で金銭面をフォローすることは可能ですが、賠償事故そのものは、お店の責任問題です。ネットの口コミで悪い評判が拡散する可能性も十分に考えられます。
美容室(美容師)の不注意から発生するものがほとんどです。不注意=失客を招き、それ以上に大きな事に発展しかねません。
- サロンの看板に通行人の衣服が引っ掛かり、破ける → 賠償対象
- カツラの色処理をしようと、熱を加えたら、カツラが溶ける → 賠償対象
- お客様の荷物を間違えて、別の人にお渡ししてしまい逃走 → 賠償対象(窃盗事件に発展。現金は2万円まで。カバン財布等は原価償却分にて支払。)
- サロンのイスが汚れており、気付かずにお客様を着席させ、衣服を汚損 → 賠償対象
- サロンのメンバーズカードに記載した内容を修正液で訂正し、お客様に返却。お客様はそのままお財布で入れたところ、修正液がお財布に付着してしまい汚損 → 賠償対象
接客
- カウンセリングでお客様の体調などに注意する。
- 初めてのお客様は特に慎重に。
- 染毛剤などの液だれに注意する。
- ストレートパーマの施術は慎重に。
- 預かり品は渡し違いのないよう工夫して保管する。
- 一見して高価な衣服は要注意。
事故発生
- 円満な解決を試みる。
- 安易に全責任を認める発言はしない。
- その場で示談金を提示しない。
- 事故に関する支払費用は必ず領収書を取り付ける。